こんにちは、NASHIMIDORIです。
「お金は幸福の関係は思っているほど強くない」という話はよく聞きます。
お金で幸せを買う方法として、「お金をモノではなく経験のために使おう」というアドバイスがセットでついてきます。
もし幸せになりたいなら、モノを最小限しか持たないミニマリストを目指すべきなのでしょうか。
実は、モノを買っても幸せになれるケースはあります。
本記事を簡単にまとめると、
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なぜ失敗する贈り物をしてしまうのか
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8つの経験を買うべき理由
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モノを買って幸せになるには?
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お金は人間が生み出した便利な物
となります。
「モノを買うことが必ずしも不幸になるという訳ではない」と思ってもらえるはずです。
「お金を経験に使う以外に、幸せになれる方法はどんなものがあるの?」と思った方は、以下の記事を参考にしてみてください。
5冊の幸福に関する本をもとに、明日から使えるワザを大きく7つの項目に分けて紹介しています。
それでは、いきましょう。
なぜ失敗をする贈り物をしてしまうのか
まず初めに、ちょっと変わった研究をご紹介します。
研究では、「送るのはいいけど、貰いたくはないプレゼントがあるのはなぜ?」という疑問をもとに、プレゼントで失敗するポイント7つをまとめてくれています。
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実用性ではなく、見た目の良さを重視する
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長く使えるものではなく、すぐに楽しめるものを選ぶ
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経験的なプレゼントではなく、触ることのできるモノを選ぶ
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前もって知らせずに、サプライズで喜んでもらおうとする
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高価なプレゼントのほうが、心がこもっていて、思いやりがあると考える
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誰でも喜ぶようなものではなく、「私はあなたのことをよく知っています」ことを表すプレゼントを選ぶ
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お互いの関係性を象徴するようなプレゼントを選ぶ
「プレゼントを贈る側と貰う側で価値基準が違う」ことが、このような失敗を招いているそうです。
ここで、3つ目に注目してください。
「経験的なプレゼントではなく、触ることのできるモノを選ぶ」
どうやら、「お金をモノではなく経験のために使おう」というアドバイスは、自分自身だけではなく、他人に対しても有効であると言えそうです。
では、なぜこれほどお金を経験に使うことが良いとされているのでしょうか。
次は、「経験を買うべき理由」を8つご紹介します。
8つの経験を買うべき理由
①人は変わらないものに慣れるのが早いから
人は変化しないものに対して、驚異的なスピードで慣れていきます。
例えば、夢のマイフォームを建てたとします。
数年前、あなたは「家の床は毎日目に入るものだから」と言い、フローリングにするか、それとも思い切って大理石にするか、と悩みに悩んで、最終的にはブラックチェリーのフローリングにしました。
今、数年前あれだけ時間をかけて選んだ床を、1日で何回見ますか?
1日1回見るどころか、どこにでもあるただの床としか認識していないはずです。
床は、毎日同じ場所で、同じ色、同じ触り心地で「何年たってもほとんど変化しないため、慣れてしまう」のです。
最近始めた週一のお料理教室
対して、お料理教室はどうでしょう?
おそらく、毎週通うたびに、新しいレシピを覚えることができます。
レシピだけではなく、使う道具や食材、作業時間も毎回変化するでしょう。
このように、経験は絶えず変化し続けます。
だからこそ、人間の慣れる性質に抗うことができ、絶えず幸せを運んできてくれるのです。
②人はモノより経験の方が頻繁に考え、思い出すから
ほとんどの人は、「モノより経験の方が後になって思い返す頻度が多い」ことが分かっています。
確かに、新しい腕時計を買ったら、古い腕時計をどこに置いたかなんて忘れてしまいます。
わざわざ、古い腕時計を思い返すのは、新しい腕時計が気に入らなかった時ぐらいです。
また、モノは考えているだけで幸せになることはほとんどなく、使うときに初めて幸せになります。
海外旅行で見た忘れられない景色
対して、経験はポジティブなものでもネガティブなものでも、たびたび思い出すことがありませんか?
初めての海外旅行でお財布を盗まれてしまった思い出、自分の英語が思ったよりも伝わった思い出、いずれにしても「あの時は。。。」と思い返すことがあるはずです。
③経験は他人と共有できる場合が多いから
幸福に関して、「他人とのかかわり」は重要な要素の1つです。
モノはそのほとんどが自己完結で終わってしまいますが、経験は家族や友人、大切なパートナーなど大切な人たちと一緒にすることができます。
つまり、経験を買うことで他人と共有でき、それが幸福につながるのです。
例えば、高級ブランドの服、クマのぬいぐるみ、高性能のフライパン、どれも自分はうれしいと感じますが、他人と共有するには少し難しいものばかりです。
一方で、修学旅行でクラスの皆と見た華厳の滝、大学の友人といったバンジージャンプ、お料理教室で同じグループの人と作った筑前煮、どれも他人と同じものを共有していますよね。
④経験は比べることが出来ないから
他人と比較することを、心理学では「他者比較」と言いますが、この他者比較をし続けると不幸になると分かっています。
進化の過程で身に着けてきた能力だけあって、「あの人が出来るんだから自分も頑張ろう」、「あいつには負けたくねえ」とプラスの方向に他者比較が影響を与えることもあります。
しかし、ほとんどは「私はやっぱりバカだ」、「私は仕事中なのに、あの人はハワイに行ってる」などといったマイナスの方向の他者比較です。
「SNSでは他者比較をしやすいので、対策した方が良いよね」といったお話は、下のところでしましたので、良かったらご覧ください。
モノは比べやすい
自分が1万円のリュックを気に入っているとしましょう。友達に2万円のリュックを買ったと聞かされたら、思わず「いいなあ」と思う瞬間があるはずです。
たとえ、それが自分のリュックと同じ値段、1万円のリュックであっても、自分のものよりも性能やデザインが良かったら、「いいなあ」と思うでしょう。
世の中には、リュック1つをとっても、数えきれないほどたくさんあります。
だからこそ、「常に新しいリュックが欲しい」と思ってしまうのです。
このように、モノはいとも簡単に比べることが出来ます。
初めて行ったハワイの記憶はみんな同じ?
一方で、経験はその人が何を感じ、何を思ったかが異なるため、比べることが出来ません。
ある人は初めてのハワイ旅行で見た、太陽が反射し、透き通るような海の美しさを、また違う人は本場ハワイで食べたロコモコ丼のおいしさを忘れられないというでしょう。
同じ「ハワイ旅行」であっても、感じたことが人それぞれで異なるため、簡単に他人と比べることが出来ないのです。
だからこそ、自分の「ハワイ旅行」の記憶を大切に、幸せな思い出として、心の中にしまっておくのです。
⑤経験は思い出すたびにより良いものになるから
人間の記憶能力は完璧ではありません。
多くの場合、出来事の中の一部を切り取って記憶しています。
そして、思い出すたびに、脳はその記憶した一部分をもとに、他の部分を補完しています。
つまり、「思い出すたびに楽しかった記憶はより強く、インパクトの弱い記憶は忘れていくので、結果的に良い思い出になります」。
「初恋が忘れられない」のは、このためです。
ピーク・エンドの法則
ある1つの出来事において、人はそのピークと終わりの記憶が色濃く残り、他の出来事は忘れ去られてしまうことを「ピーク・エンドの法則」と呼びます。
日本でいう「終わり良ければ総て良し」みたいな感じです。
例えば、旅行中にゲリラ豪雨となったとしても、それよりも印象深い絶景を見て、帰ってくる頃には雨も上がり、虹がかかっていれば、その旅行はいい旅行になるのです。
つまり、「ある1つの出来事の中で、ピークと終わりがポジティブな記憶なら、その出来事全体もポジティブな思い出になる」ということです。
⑥経験は待つことでも幸せになれるから
経験がもたらす喜びは、その経験が起こる前から始まります。
つまり、経験に対する「期待」が幸福をもたらすのです。
ある研究では、経験を待つことはモノを貰うのを待つよりも嬉しく、ワクワクすることが分かりました。
確かに僕自身、初めて沖縄に行くとき、1か月前ぐらいからワクワクしていた記憶があります。
もしあなたが旅行の計画を立てているなら、行く日程を少し先にしてみてもいいかもしれません。
きっと、より良い旅行になるはずです。
⑦経験はお金をかけずにできることが多いから
モノの場合、より良い商品、より新しい商品を求めるとキリがありません。
モノを手に入れることで幸せになろうとすると、「お金がいくらあっても足りない」状態になってしまうのです。
一方、経験はお金をかけずに出来るものもたくさんあります。
毎週末、違う公園を散歩したり、地域でやっているお料理教室に通ってみたり。
自身の考え方次第で、たくさん経験をすることができます。
⑧経験は管理費・維持費がかからないから
当たり前ではありますが、車を買えば保険やメンテナンス費、ガソリン代がかかります。
庭にプールがあるお家を買えば、桁違いの水道代や枯れ葉の掃除など様々な手間がかかります。
100万円のハワイ旅行と、100万円の車、値段が同じだからといって同じものだと考えてはいけません。
ハワイ旅行は帰ってきてから思い出すたびに良い思い出になりますが、車は毎月の維持費がかかるのです。
モノを買って幸せになるには?
お金はモノではなく経験に使った方が幸せになれることは分かりました。
ここで、次の疑問が頭に浮かびませんか?
「モノを最小限しか持たないミニマリストになればいいのか?」
結論としては、そんな必要はありません。
これだけ経験をオススメしていますが、僕自身もモノによって幸せになることがあります。
モノを買う時は経験と結びつける
何かモノを買う時は次のことを心の中で考えてみてください。
これを買うことによってどんな経験をすることが出来るだろうか
例えば、あなたは車を買おうか迷っているとしましょう。
「車はモノだし、維持費もたくさんかかる。買わない方が良いのかな?」
そこで、さっきの質問を自分に投げかけてみます。
「車を買うことによってどんな経験をすることが出来るだろうか」
「車を買ったら、友達とドライブに行ったり、車でしか行けない旅館にも行ったりできる。」
こんな感じで、「そのモノを買うことによって得られる経験があるならモノを買うのもアリ」だと思います。
お金は人間が生み出した便利な物
最後に、「お金」の話を少しさせてください。
遥か昔の僕たちの祖先は、「物々交換」という便利な仕組みを始めました。
物々交換をすることで、自分が欲しいものをすぐに得ることができ、生きるうえで必要な物をすべて自分で用意する必要がなくなりました。
ところが、物々交換にはあるデメリットがありました。
それは、「お互いに欲しい物でなければ物々交換が成立しない」ことです。
自分はパンが食べたいときに、相手が「パンが食べたいから俺のお米と交換してくれ」と言われても交換しようとは思いませんよね。
”自らが生み出したお金”の奴隷になってはいけない
そこで生まれたのがお金です。
お金があれば、どんなものでも交換することが出来ます。
昔の人々がより便利な取引を行うために生み出したお金ですが、現代の人の多くはお金に振り回されています。
時間があれば自身の口座の金額を確認したり、自分もあの人のようにお金持ちになりたいと考えたり。
現代ではお金がないと生きていけない人がほとんどです。
しかし、「お金は道具に過ぎません」。そのことを忘れずに、お金と適度な距離を保てるように心がけ、お金の奴隷にならないようにしましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「お金はモノより経験に使おう」というアドバイスを1度ぐらいは聞いたことがあった人が多いと思います。
しかし、こんなにもお金を経験に使うべき理由があるのはびっくりです。
また、このアドバイスにとらわれ過ぎて、「モノでも幸せになれる」をことを忘れないでください。
世の中に白黒つけられることがほとんどないように、モノと経験も簡単に優劣つけれるものではありません。
最後に、生きていくうえでお金は必要ですが、お金の奴隷にはならないように気をつけましょう。
お金よりも大切にすることはきっと誰にもあるはずです。
ということで、本日は以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
以下、参考文献を書いておきます。
- 『99.9%は幸せの素人』星渉 前野隆司(2020)
- 『さあ、本当の自分に戻り幸せになろう 人生をシンプルに正しい軌道に戻す9つの習慣』マーク&エンジェル・チャーノフ(2020)
- 『幸せがずっと続く12の行動習慣』ソニア・リュボミアスキー(2012)
- 『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』ドルフ・ドベリ(2019)
- 『リュボミアスキー教授の人生を「幸せ」に変える10の科学的な方法』ソニア・リュボミアスキー(2014)
- 『MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実』クラウディア・ハモンド(2017)
- 『Waiting for merlot: Anticipatory consumption of experiential and material purchases』 Amit Kumar, Matthew A. Killingsworth, and Thomas Gilovich(2014)
- 『If money doesn’t make you happy, then you probably aren’t spending it right』 Elizabeth W. Dunn, Daniel T. Gilbert, Timothy D. Wilson(2011)
- 『Why are materialists less happy? The role of gratitude and need satisfaction in the relationship between materialism and life satisfaction』 Jo-Ann Tsang, Thomas P. Carpenter, James A. Roberts, Michael B. Frisch, Robert D. Carlisle(2014)
- 『To have in order to do: Exploring the effects of consuming experiential products on well-being』 Darwin A. Guevarra, Ryan T. Howell(2015)
- 『Why certain gifts are great to give but not to get: A framework for understanding frrors in gift giving』 Jeff Galak, Julian Givi, and Elanor F. Williams(2016)
あ、調べてみたところ、うちの床はブラックチェリーみたいです。さくらんぼ食べたい。